皇帝フリードリッヒ二世の生涯(塩野 七生)

十三世紀、ローマ法王と対立した神聖ローマ皇帝・フリードリッヒ二世の生涯を描いた歴史巨編。

いつの時代も新しい改革には反発があるが、反対派の最先鋒がローマ法王であった。
フリードリッヒ二世の改革、あるいは施策は、現代の視点から見れば大いに理にかなっていると思えるが、既得権者からすればそれを奪われる恐怖を感じただろう。
一方で、既得権を失うリスクを背負いながらも、時代の変革に協力した人たちも描かれていて、当時のダイナミックな変化が手に取るように感じられた。

皇帝個人の能力に依存せず、優れた人材を育成し続けて持続可能な社会を作ろうとしたことは素晴らしいと思う。
しかし、昔も今も、時代の閉塞感を打ち破っていくには、こうした圧倒的な人物の能力は必要なのかもしれない。

いつもながら、塩野さんの作品からは学ぶことが多い。

個人的おすすめ度 5.0