魔性の子(小野 不由美)

十二国記シリーズではあるものの、現実社会で展開する作品で、異世界から戻ってきた少年と現実社会の人々の衝突と交わりを描いている。
自分が帰る場所はここではないと感じる高校生・高里と、同じように感じている教育実習生の広瀬。
高里にかかわった者たちが次々と不幸に見舞われる中、広瀬は共感を覚えるようになっていくが、本質的なところで異なることがあった。
本を読みながら広瀬に感情移入していく自分がいるからこそ、ラストでは自分自身の浅はかさに気づかされた。
人間の愚かさを描いたファンタジーホラーともいえる良作である。

個人的おすすめ度 3.5