罪の轍(奥田 英朗)

東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年、南千住で発生した強盗殺人事件、さらには浅草で発生した男児誘拐事件が発生する。
容疑者は、北海道の礼文島から逃げてきた男・宇野寛治。
それを追う若手刑事・落合昌夫。
それぞれの視点から、この事件が発生した背景や、当時の警察組織の内部事情、そしてマスコミが果たした役割などが描かれていく。
重苦しい内容で、やるせない気持ちに満たされていくが、物語から目を逸らすことが出来ず、貪るように読書した。
フィクションだが、吉展ちゃん誘拐殺人事件がこの物語のモデルになっていて、この事件が提起した問題がしっかりと描かれている。
読み応えのある一冊だった。

個人的おすすめ度 4.5