空港にて(村上 龍)

八つのシチュエーションで、そこにいた人々がどのような過程を経てそこに至り、その瞬間何を考え、そしてどこへ向かおうとしているかを描いた短編集。

「コンビニにて」始まり、居酒屋、公園、カラオケルーム、披露宴会場、クリスマス、駅前、そして空港というそれぞれの場所、それぞれの瞬間、そこにいるすべての人にドラマがある。
そのことに気づくと、一歩外へ出て、人を眺めながら想像力を働かせれば、巷はドラマに溢れていることがわかる。

それぞれの物語に哀愁がある。
きっと人の笑顔の裏側には、多くの哀しみが溢れているのだろう。
村上龍さんの作品らしく、一人称の淡々とした描写が文学を楽しむための一冊だと感じた。

個人的おすすめ度 3.5