神去なあなあ夜話(三浦 しをん)

買い物する場所や飲食店があまりない地域の事を「何もないところ」と表現することがあるが、それは単に何も見えていないというだけのことだろう。
神去村で林業の従事し始めた主人公・勇気は、前作では無理やりこの地にやってきたものだったが、やがてこの地で生きていくことを自ら選択していくようになる。
そこには、目に見えない大切なものが「確かにある」のである。

電車の中で読んでいても笑ってしまうくらい面白い場面がたくさんある一方、普段は見せない悲しみも含めて、過去から未来へと続くこの村のことを見つめる姿勢には心を揺さぶられる。

村にある多くの事柄は、神去村だけにあるものではなく、自分が暮らしている場所にもあるのだろう。
自分の周りにも素敵なことがたくさんあることに気づかせてくれる作品だと思う。

個人的おすすめ度 3.5