石の血脈(半村 良)

半村良氏の初期の長編作で、1971年に発表されたSF伝記ロマンだが、今読んでもなお斬新さを感じる作品である。
若手建築家・隅田が巻き込まれていくのは、古代から続く驚愕の出来事であった。
世界各地の巨石信仰、犬神信仰、あるいは狼男や吸血鬼、さらには古くはイスラム教から派生した暗殺集団の存在まで、世界規模での謎を集約してく展開からはまったく目が離せなかった。
一方、人間が神へと求めるものが、やがて自分自身が神として権力を握ることへの欲求へと育っていく恐ろしさや、権力を握ったときに人間性を維持することの困難さなど、人間の在り方にも踏み込んでいる部分も読みごたえがあった。

個人的おすすめ度 4.0