武士道エイティーン(誉田 哲也)

武士道シリーズ第三弾は、高校三年生になった香織と早苗が最後の大会に挑み、そして新たな道へと進んでいく姿を描く。そして、二人の成長に欠かせない人々のサイドストーリーも丁寧に描かれ、物語全体にさらなる厚みを感じた。

また、前作ではスポーツと武道の違いについて考えさせられるところがあったが、本作はさらに踏み込んで剣道とは何かという理念にも迫り、剣道未経験者であってもその志をしっかりと理解できるようになっていた。

大会までの紆余曲折が丁寧に描かれているからこそ、試合のシーンには手に汗握る迫力とともに感情移入してしまう。そして、大会後も物語が終わるわけではなく、さらに楽しみが増してしまうという何とも心憎い展開である。

青春のひととき、それぞれの瞬間が、本当に瑞々しく感じられ、いいなぁ青春と感じずにはいられなかった。一言では到底片づけられない面白さを、ぜひ読んで体感してもらいたい。

個人的おすすめ度 4.0