警察学校は生半可な気持ちでは卒業できない。しかし、実際の現場に出てから命を削って仕事をしなければならない彼らにとって、ここでの学びは覚悟を決めるための時間でもあるのかもしれない。
警察官になろうとする一人ひとりにドラマがある。前向きなものばかりではなく、未熟さ故に他人を傷つけてしまうことさえある。そうした彼らに寄り添うベテラン教官・風間公親の鋭さと厳しさが素晴らしい。
全六話がそれぞれ独立した物語でありながら、同じ釜の飯を食う者たちが卒業へ向かって成長していく姿は、仕事というものに本気で取り組むことの大切さを教えてくれる。ミステリーの要素もありながら、それぞれのヒューマンドラマからも目が離せない、心に残る一冊である。
個人的おすすめ度 4.5