左岸(江國 香織)

右岸」(辻仁成著)と対をなす一作。
左岸は女の視点から描いた物語で、右岸の主人公との恋愛を超えた関係性を描いている。
どちらを先に読んでもいいとのことだったが、 個人的には 右岸を読んでからの左岸が正解だと思った。
ただ、推理を楽しみたい場合は、右岸から読んだ方がいいかもしれない。

互いにそれぞれの時で異なる人生を歩みながら、時に相手を思い出す瞬間、亡き兄を通じてそれぞれの人生がクロスする瞬間が面白い。
主人公・茉莉の人生と、左岸の主人公・九との人生が、つかず離れず、しかし互いに相手を思い、影響を与え合っているのがわかる。
そして、元を辿ると茉莉の兄・惣一郎にたどり着くところに出会いの面白さを感じた。

個人的おすすめ度 3.5