孤塁 双葉群消防士たちの3・11(吉田 千亜)

東日本大震災によって、絶対に事故は起きないと言っていた原発事故が発生した。避難区域に指定された地域で、ほとんど知られることなく命を懸けて活動し続けた消防士たちがいた。満足な情報も伝えられず、選択肢もなく、そして存在すら忘れられたのではないかと思うような状況下、彼らはどんな思いでいたのか。

消防士の仕事は人の生活を守ることである。そして彼らや彼らの家族もまた人である。事故が発生している原発へ向かう彼らの命は誰が守るべきだったのだろう。原発の恩恵を享受して生活している一人の国民として、そのことを知らず、あるいは考えずに生きていくことは許されないのではないかと思う。

このドキュメントは、ヒーローを作ろうとするものでは決してない。しかし、この事実が伝えられなければ、人間はまだ同じ過ちを繰り返すばかりだろう。誰かの幸せのために、誰かが泣くような社会であってはならない。そして、何より3・11はまだ終わっていない。

個人的おすすめ度 4.0