天使のナイフ(薬丸 岳)

心が痛くて、痛くてたまらない。
人間の心が怖くて、孤独で、けれども一人では生きていけないから誰かを信じたくて──。
少年犯罪の問題、犯罪被害者の問題、法制度の狭間であがき苦しんでいるのは誰なのか。
物語は、妻を殺された主人公が、その真実を求めていく過程で、恐るべき全容が明らかになっていくもの。
ミステリーとしての展開は最後の一行まで素晴らしい。
そして何より、社会問題に真正面から取り組んでいる著者の姿勢に脱帽である。
強烈な印象が残る一冊。

個人的おすすめ度 5.0