夜明けの街で(東野 圭吾)

おやじになってしまったことを認識している中年男が、あるとき浮気をしてしまい、そこからズルズルと不倫の沼へとはまっていく物語。
不倫相手は、時効が迫る事件の殺人犯かもしれないが、それを知ってなお深みから抜け出せなくなっていく男。
ミステリーというより、恋愛コメディのような雰囲気もあり、また、男共のだめさ加減を描いた中年の哀愁物語のようでもある。
それでいて最後まで謎がどうなるかが気になって、どんどん読まされてしまうのはさすが。
男性が読んだら主人公に共感を覚えるかもしれないが、女性が読んだら逆に男の下らなささや幼稚さ、あるいは単に男の酷さを感じるかもしれない。
東野氏はこういう作品も書けるんだなぁ、巧いなぁとしみじみ感じる作品だった。

個人的おすすめ度 3.5