囁き男(アレックス・ノース)

フェザーバンクという町では、かつて、子供が相次いで誘拐され、殺害された事件があった。犯人は逮捕されたものの、最後に誘拐された子供はは発見されないまま二十年が過ぎていた。そして、同じ町で再び子供が誘拐される事件が発生した。過去に逮捕した男には共犯者がいたのか、それとも模倣犯か、あるいはまったく別の事件なのか。

この街に引っ越してきたシングルファザーのトムと息子のジェイク。彼らはやがてその事件を知り、不安な日々を過ごすことになる。一方、二十年前に事件を担当していた刑事ピートは、新たに発生した誘拐事件の捜査にかかわっていく中で、驚くべき事態に直面する。

最初は何もないものと思われていた人々の空間に、張り巡らされていた糸が次々と現れていく様が面白く、同時に背中が寒くなるような怖さを感じた。そして、結末まで読めば恐怖が払拭されるのではないかと期待して、次々とページを捲ったのだが……。

何とも言えない読後感だが、申し分のないストーリー展開で、秀逸なミステリーであることは間違いない。読み始めてしまえば、一気に物語の世界に引き込まれることだろう。

個人的おすすめ度 3.5