任侠書房(今野 敏)

阿岐本組は、素人衆を泣かしちゃいけねえという昔ながらのヤクザである。貸金の取り立てはまだしも、なりゆきで倒産しかけた出版社の経営をすることになる。主人公の日村は阿岐本組のナンバーツーであり、社長となった阿岐本と共に、出版社の役員として表の仕事をすることになる。

倒産しかけている出版社だけあって問題はいくつもあるが、彼らならではのやりかたでそこに挑んでいく展開が面白い。並行して工場の借金取り立ての対応も奇想天外で、いくつものトラブルを乗り越えていく姿を見ると、任侠道は本来こうあるべきなんだろうなと思ったりしてしまう。

後半は任侠小説らしくマル暴刑事とのバトルも繰り広げられ、一冊の中に「痛快」というエキスがたくさん入った物語である。シリーズ第一弾ということで、彼らのさらなる活躍に期待し、第二弾以降も読もうと思う。

個人的おすすめ度 4.0