フィデル出陣 ポーラースター(海堂 尊)

キューバ革命を成功に導き、その後も長きにわたって国を支えてきたフィデル・カストロ。シリーズの前作と本作では、同氏がどのような幼少期を過ごし、そしてやがて革命に向かうようになっていくかを描いている。

チェ・ゲバラ、フィデル・カストロという二人の英雄の泥臭くドラマチックな生き方はとても魅力的で、また、その周囲の家族や闘争に参加した人々、あるいは独裁者らの人間臭さも本シリーズの見所である。

一方、私自身が知識不足であった中南米の闘争の歴史が随所で語られ、それぞれの国の特徴や現代に至る背景も知ることができ、膨大な資料がこれほど丁寧にまとめられ、かつ面白い物語として完成していることに驚きを感じた。

フィデル・カストロのような圧倒的な志と行動力を持った政治家は、日本には見当たらないどころか、世界を見渡しても滅多にいないだろう。以前からキューバという国に興味をもっていたが、この本を読んで、あらためて行ってみたいという気持ちが強くなった。

じっくりと時間をかけて読んでもらいたい本シリーズ、その第四巻目は納得するしかない一冊であった。

個人的おすすめ度 5.0