ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~(三上 延)

待望のビブリアシリーズ、今回は一冊丸ごと横溝正史がテーマとなっていた。幻の作品「雪割草」、最高傑作のひとつである「獄門島」、そして直筆原稿の行方。ある家族の問題と、これらの作品がリンクして、古書を巡るミステリーが展開する。

このシリーズを読むたびに、紹介されている本を読みたくなるし、古書店にも行きたくなる。電子出版が増えている昨今だからこそ、紙という媒体にも一層魅力を感じてしまうのは、ある意味ではノスタルジーなのかもしれない。

不勉強なため、横溝正史という人は金田一シリーズのイメージであったが、その多彩さには驚かされた。その素晴らしさに気づかせてくれた本書に感謝したい。それにしても、小学三年生の読書感想文で「獄門島」が出てきたら、やっぱり驚くだろうなと思う。子供らしからぬ扉子のキャラクターも悪くない。

読めば読むほど楽しいビブリア堂の事件手帖。読み終えた途端、早く次の作品が出ないかなと期待している自分がいる。

個人的おすすめ度 4.0