ドミノin上海(恩田 陸)

小さな偶然が積み重なって引き起こされる大騒動。交差するはずのなかった25人と3匹の運命は、やがてホテル青龍飯店へ繋がっていく。倒れ続けるドミノのように、止まることなく物語はクライマックスへと向かう。

個性的すぎる登場人物ばかりなので、読んでいて誰だか分からなくなるということもなく、さらには恐ろしく賢いパンダに至っては、もうパンダという動物を「かわいい」という視点では見られなくなるほどのインパクトである。

完璧な人物は誰もいず、それぞれがドジを踏むことによってドミノの勢いが加速していく。こんなことはあるわけがないと思う一方、実際の世の中は知らないうちに繋がっているかもしれないとも想像してしまう。

小さな不幸や失敗くらいは笑い飛ばして生きていこうと、ある意味では投げやりな、しかしいい意味で前向きになれた一冊だった。

個人的おすすめ度 3.5