ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻(P・G・ウッドハウス)

20世紀初めころのロンドンを舞台に、バーディとその執事ジーヴズが、自分自身や身の回りで起きる問題を解決していく連作短編。
ジーヴズシリーズの中でもまずは入門編と言えるこの本には、バーディのもとにジーヴズがやってくるところから始まる。
そして、バーディにお見合いを強要する叔母や、好きな女性が次々と変わる親友、俳優志望の男、学校を抜け出してきた女の子など、他人事としてみるだけなら面白い登場人物たちとの騒動が、ユーモアあふれる物語として描かれている。

それぞれの個性が誇張されているところがまた人間臭く、また、ほとんどの人が富裕層に属する人ばかりなので切羽詰まった感じでもなく、だからこそ安心して楽しめる喜劇になっているのだろう。
暗い作品ばかり読んでいると、時々心穏やかに楽しめる作品を読みたくなる。
そんなときにおすすめの一冊である。

個人的おすすめ度 3.5