オルタネート(加藤 シゲアキ)

若い時には時間は無限に感じられる。振り返ればそれは一瞬の貴重な瞬間だとしても。

高校生しか利用できないSNSオルタネート。同じ高校にいながら、つながりのきっかけはSNSであるというのは、いまや当たり前のことなのかもしれない。この物語に出てくる誰もが物語の主役であり、複数の視点からの物語が平行し、時には絡み合いながら十代のひと時を彩っていく。

オルタネートを信奉する者もいれば、使わないという選択をする者もいる。同世代でありながら高校生でないためにオルタネートを使えない者もいる。利用できる期間が区切られているという発想が斬新で、そのことが表現している世界観が素晴らしい。

自分自身が高校生としてこの本を読んだなら素直に共感したかもしれない。しかし、今の時点で読んだからこそ気づけることもある。自分自身のその頃を思い出して、どこか懐かしさを感じながらも、心地よく物語に浸ることができた。読後も、もう少しだけこの余韻を楽しみたいという気持ちになった。

個人的おすすめ度 4.0