オカマだけどOLやってます。完全版(能町 みね子)

オカマという表現は必ずしも正しくないように思うけれど、それも含めて読む人を幸せな気持ちにしてくれる素敵なエッセイ。著者が少年だった頃の話から、初めて女性として仕事を経験した話、就職して仕事をして女の輪の中で感じたこと、カミングアウトしたときの話などが、本当に楽しく描かれている。

性同一性障害というとなんとなく重々しいし、大変な人生だなと言われたりするのかもしれない。それを背負っている人という意味のないプロトな見かた。それがいかにナンセンスか……。

そんなことより、一度しかない人生、自分らしく悔いなく生きていければいいじゃないかと思う。そこに不幸はぜんぜんなくて、色々なことにチャレンジしていく面白さがある。

この本を読んでいると、至る所に「チン子ついています」みたいなことが直接的に書かれている。でも、いやらしさはまったくといっていいほどなく、ユーモアでつい顔が緩んでしまう。軽快な文章が本当に気持ちのいい、癒しのあるエッセイである。

個人的おすすめ度 3.5