エンド・オブ・ライフ(佐々 涼子)

在宅医療では、終末医療を行うことも多いのだろう。本書は患者や家族、そして医療関係者を長期にわたって取材した作品で、在宅医療の看護師をしていた一人の男性が、がんになって余命宣告を受けてからの人生の選択が描かれている。

男性は「生きたようにしか、最後は迎えられない」という。当たり前すぎることだが、ターミナルケア(終末医療)はどう死ぬかにあるのではなく、どう生きるのかということを考えるものだと気付かされる。そこには別れの悲しみよりも、たくさんの喜びの笑顔と涙があった。

長く生きたから幸せなわけではないだろうし、ただ病人扱いされて延命されるよりも生きたい人生を選択できることがどれほど大切だろう。その選択には、もしかしたら自らの人生に終止符を打つことも含まれてしまうかもしれないが。

全ての人がいずれ死ぬ。著者も書いている通り、ただその時期を知っているのか知らないのか、というだけの違いなのだ。遅かれ早かれ、誰もが死を受け入れなくてはならないのである。だからこそ、すべての瞬間において、人生をきちんと生きていくことが何よりも大切だと彼らは教えてくれた。

このドキュメントを読んでいて何度も泣いた。素晴らしい作品を書いてくださった著者、そして登場するすべての人々に感謝したい。

個人的おすすめ度 4.0