アーモンド(ソン・ウォンピョン)

アーモンドと呼ばれる脳の偏桃体が先天的に小さいために、感情をあまり持つことができない主人公は、まるで自分と正反対に感情を剥き出しにする少年と出会う。他人の気持ちを理解しようとするとき、共感を感じたり、反感を感じたりするのは、自分の中にもそうした感情があるからだろう。もしそれがわからないとしたら、世界はどのように見えるのだろう。

しかし、よく考えてみると、他人のことを本当にわかっていると思えることは実は少ない。わからないからこそ想像し、わかろうと努力する。そこに他人への興味、愛情のようなものが出てくる。

主人公は、私たちが当たり前だと思って考えもしないことを、彼は理屈で理解しようとする。そして「愛」を理論的に理解しようとする。

本の中でこんな印象的な言葉がある。
「ほとんどの人が、感じても行動せず、共感すると言いながら簡単に忘れた。」
そして主人公は、
「僕はそんなふうに生きたくはなかった。」
という。

その結果起きてしまう最悪の事態──彼らがたどり着いたのは……。

主人公の視点がとてもわかりやすく、同時に考えさせられることも多い一冊だった。

個人的おすすめ度 3.5