アウシュヴィッツの図書係(アントニオ・G・イトゥルベ)

第二次世界大戦下、アウシュヴィッツ強制収容所に両親らと共に収容された主人公ディタ。
そこには、密かに学校が開かれ、彼女は図書係として8冊の本を管理することになった。

過酷な収容所の環境は、人々から命だけでなく、希望を奪っていく。
しかし、本はそんな状況にあっても、喜びを与えてくれた。
そして、考えることを止めてしまいたくなるほどの状況でも、前向きに考える力を与えてくれた。

この物語は実話をベースに書かれたもので、人々が生きていくために必要なものは、単にパンと水だけではなかったことを教えてくれる。
一方、ナチスやそれに加担してしまった人々もまた、戦争によって思考を麻痺させてしまったのかもしれない。

彼女をはじめ、人々が苦しみながらも生き抜いていく姿に心を打た。
このような本をいつでも自由に読むことができる幸せが、世界中で共有されることを願う。

個人的おすすめ度 4.5