もののけ<怪異>時代小説傑作選(朝井 まかて/小松 エメル/三好 昌子/森山 茂里/家門 七海/宮部 みゆき)

6人の女性作家が描くもののけの世界。
人情話もあればホラーもあり、ユーモアを感じることもあれば怖い世界を見ることもあり、もののけの世界でありながら人間の喜怒哀楽が見事に凝縮された短編ばかりである。
こうした物語が作られるのは、私たちともののけは表裏一体であり、時には同じものでもあるからだと思う。
ただの物(モノ)が語ったり、動物がしゃべったり、人間だと思っていたものがもののけだったり、あるいは物語だと思っていたものが現実だったり……それらのことに気づかない方が幸せかもしれないが、この本を読んで、ふと顔を上げると、違う世界が見えるかもしれない。

個人的おすすめ度 3.5