もう、聞こえない(誉田 哲也)

男を殺してしまったと話した女性は、警察の取り調べに対して、女の声が聞こえるのだと言った。女性はなぜ男を殺そうとしたのか。そもそも男との関係はどのようなものなのか。そして、女の声とは一体何なのか。

事件は過去にさかのぼる。小さなころから仲が良かった二人の少女。小学校、中学校、高校と同じ時を過ごしていたが、やがて別々の人生を歩み始めるのだが、そのときある事件が起こる。そのことがあとに起こった事件とどう係わっていくのか、進むにつれて謎が明らかになっていく。

私自身は霊感というものとまったく無縁のようだが、もし期せずして誰かの声が聞こえたとしたら、それを受け入れることができるだろうか。そんなことを考えながら、かつて同じ場所に住んでいた人たちの数奇な物語を読んだ。

個人的おすすめ度 3.5