ふたご(藤崎 彩織)

SEKAI NO OWARI(セカオワ)というバンドがあることは知っていた。
曲も聞いたことがあった。
だけど、この本を読む前と読んだ後で、セカオワの印象はずいぶん変わった。
この物語は、セカオワの話ではないけれど、セカオワの話だ。

若いときの、すべてにいら立ちを感じるような感情だったり、一切の損得勘定を考えずに好きなことに没頭できる行動力といったものが、主人公をはじめ登場人物たちから溢れてくる。
そういえばこんな思いは自分にもあったなと思い出す。

人はいつの間にか物わかりのいい大人になってしまう。
それは生きていくための知恵かもしれないし、自分が選んだ人生なのだろうけれど、無責任にも哀しいことだと感じてしまう時がある。

物語の後半は、セカオワの曲を聴きながら読んだ。
希望がそこにあった。

個人的おすすめ度 3.5