でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相(福田 ますみ)

法律で裁くことができない罪があるとすれば、一人の教師を殺人教師としてでっちあげたモンスターペアレント、校長や教頭、そして似非ジャーナリストたちの罪であろう。

週刊文春が報じた福岡「殺人教師」報道や、それに追随した朝日新聞の報道により、一人の教師の人生は大きく変わってしまった。事件は冤罪であったわけだが、一方的な意見のみを取材して、それがあたかも真実かのように報じながらも、その後の経緯についてはほとんど関心を示さないという姿勢は、このもスンスターペアレントと共犯と言ってもいいと感じた。

もっとも、校長や教頭は教育者としてあるまじき人物であろう。しかし、そうした人たちが学校の指導者になってしまう教育界の仕組みにも大きな疑問を感じる。これは個人を批判するだけでは解決できない問題だ。

小説よりもはるかに理不尽なことが実際の社会で起こっている。この事件は、著者のように誠意あるジャーナリストによって事実を知る機会を得たが、これは氷山の一角かもしれない。私たちは、こうした理不尽が自身にも降りかかる可能性があることを覚悟しなくてはいけないのかもしれない。

個人的おすすめ度 4.0