しろいろの街の、その骨の体温の(村田 沙耶香)

小学生から中学生になって思春期を迎え、体も心も変化していく時期。 自分を守るすべを知らず、だから自分を守るために人を傷つける。子供は純粋などという絵空事ではなく、子供ほど残酷であるという事実を思い出し、胃が痛くなるような物語を読んだ。

体の成長は性への目覚めへとつながっていくが、それを受け入れようとする心の揺らぎが恐ろしいほどリアルに描かれている。女と男の精神的な成長速度のズレ、あるいは同性でも成長の差異は、言葉では表現できない正体不明の違和感を生む。そんなことは大人になればわかるという人もいる、ここまでしっかり捉えて表現できる作品にはなかなか出会えない。

読むほどに辛い気持ちが増して、どこまでも追い詰められていく気持ちになったが、だからこそ主人公がその先に見た世界を知りたくて夢中で頁を捲った。そして、読み終えてしばし天井を見上げて呆然とした。自分とは何かという大人でさえ難しい問いを、思春期の彼らが必死に考え藻掻いている姿が心に深く刺さった。

個人的おすすめ度 4.0