こどもホスピスの奇跡 短い人生の「最期」をつくる(石井 光太)

生まれて間もなく、あるいは若いときに、重い病にかかってしまうことがある。若くして人生の幕を下ろしてしまう子供もいる。しかし、幸せかどうかというのは人生の長さでは測れない。そのことを考えさせてくれる場がある。

子どものためのホスピスは、わが国での歴史はとても浅く、まだまだ途上だという。その中で子どもたちのためのホスピスを作り、運営し、啓蒙しようとする人たちを追ったドキュメント作品である。そうは言っても、主役はあくまで子供たちであり、その家族である。そのうえで、この活動に携わっているすべての人々をリスペクトしたい。

もし、自分自身やその家族が、幼くして余命宣告されたとき、何を感じるだろうか。ただ絶望するだろうか。そのあと、どのような行動をとるだろうか。もし子どもホスピスがなかったら、子どもたちや家族には深い喪失感だけが残ったかもしれない。

短い人生を全力で生きる子どもたちの姿や、その傍らで共に生きる家族や支援者を見て、誰もがそうした機会を享受できる社会にしていかなくてはと思う。すべての人が幸せな人生を送れる社会とするために、子どもホスピスの充実も必要不可欠であることは間違いない。

個人的おすすめ度 4.0