あの家に暮らす四人の女(三浦 しをん)

杉並の古い洋館に暮らす四人の女たち。家主の牧田鶴代と、その娘で刺繍作家の佐知。偶然に出会いから佐知と友達になった同年代の雪乃、そして雪乃の会社の後輩である多恵美。さらにすぐ近くに暮らす老人・山田。

個性的な面々が織りなすゆるやかな日常は、大小さまざまな事件を経て、それぞれの幸せを描く。他人でありながら家族のように寄り添っていく彼女たちの暮らしは、読んでいてとても羨ましい。持っているものが違うからこそ一緒に暮らす意味があるのだろう。

ともすれば人との関りを避けた生活こそストレスのない幸せな生活だといわれかねない昨今だが、人は人と共に生きることで幸せに満たされるのだと思う。そのことの大切さが伝わる素敵な物語だった。

個人的おすすめ度 3.5