あと少し、もう少し(瀬尾 まいこ)

中学生の少年たちが駅伝大会を目指して結束していく姿を描く青春小説。
各章が6人のランナーそれぞれの目線から描かれ、襷をつなぐごとに物語のピースが埋まってパズルが完成していく。
自分がこの年齢だったころを思い出すと、やっぱりこんな風に些細なことに拘って虚勢を張ったり、大人から見れば見え透いた仮面を一生懸命に被って見せたりしていたんだろうなと思う。
瑞々しい感覚と、先生や家族たちが愛情をもって彼らに接している様子が、爽やかな駅伝風景とともに伝わってくる。
頁を捲った先のゴールが待ち遠しかったが、一方で読了してしまった後は、まだまだ彼らとずっと走っていたいなという一抹の寂しさも感じた。

個人的おすすめ度 3.5