著者にとって走ることは日常生活の一部となっているように思う。多くの市民ランナーにとって、走ることが生活の一部であるのと同じように。仕事やその他のこととのバランスをどのようにとっているのか、その中で走ることにも集中し、自分を高め、楽しんでいけるかどうかを、とてもわかりやすい言葉で綴っている。走ることは誰かと競うことではなく、自分自身を見つめる時間なのだ。
私自身も走る者として、共感するところが多かった。そのことを走らない人に理解してもらいたいと思うこともほとんどない(たまにある)が、走っている者同士だけが共有できる感覚というのはあるのだと感じた。それが単なる思い込みだとしても、そう思えただけで、この本を読んだ価値があった。そして、自分の生活の中に走ることをどう位置付けていくかを考えさせてくれた。
以前からこの作品を知っていたが、コロナ禍になり、一年半ほど前からランニングを再開し、この時期に読む機会を得たことは偶然ではないと思う。私にとっては、人生の時間をどう使うかを見直していくきかっけとなる一冊だった。
個人的おすすめ度 4.0