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ザリガニの鳴くところ(ディーリア・オーエンズ) – まったくの拓の読書備忘録

ザリガニの鳴くところ(ディーリア・オーエンズ)

ノース・カロライナ州の湿地で孤独に生きている女性カイア。経済的に厳しい環境下ではあっても、逞しく生きている彼女が見る湿地は、生命のエネルギーに溢れていた。しかし、湿地の少女と蔑まれた彼女は、この地で1969年に起こった殺人事件の容疑者になってしまう。

ミステリーとしての面白さもあるが、この作品の素晴らしさは、動物や昆虫などの生態の神秘と、それが我々人類にも関わっていることへの追求である。特に子孫繁栄のための命の活動は、人間の倫理観など軽く凌駕していく。自然を破壊していく人間の傲慢さに警鐘が鳴らされているのである。

また、貧乏白人(ホワイト・トラッシュ)という言葉も彼女の立場を象徴する。黒人差別だけでなく、白人にも差別階級が存在することが描かれている。

貧困と差別の問題も、自然環境の問題も、現在進行形の問題であり、本作はこれらの問題をしっかりと捉えた作品であった。

個人的おすすめ度 4.0